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親知らずは抜かないとだめなの?

投稿日:2018年7月11日|カテゴリ:院長コラム
親知らず

奥の方の歯が痛くなって歯科医院に行ったところ、「親知らずが原因ですね。親知らずを抜かなければなりませんよ」って言われた経験や、言われた人のお話を聞いたことありませんか?

普通の歯は、むし歯や歯周病になっても治療できるのに、どうして親知らずはぬかなければならないのでしょうか?

親知らずとは

親知らずとは、正式には”第三大臼歯”とよばれる歯で、左右の上顎・下顎に1本ずつありますので、合計で4本あります。

親が、子供の歯みがきや、乳歯から永久歯への生え変わりなどの歯の管理をしなくなった後に生えてくる、つまり”親が知らないうちに”生えてくるので、親知らずとよばれるようになったそうです。

ちなみに、英語ではWisdom toothといいます。”知恵がついた後に生えてくる歯”という意味です。親知らずのことを智歯ともいいますが、同じような意味合いですね。

親知らずはどうしてきちんと生えてこないの?

◆親知らずの生え方

親知らずは、最も奥に当たる位置に生えてきます。”生えてくる”といいましたが、多くの場合、斜めに生えていたり、まっすぐだけれども後ろ側が歯茎に覆われていたりしています。

完全には得ている人は非常に稀です。もちろん、生えてこないで、埋まったまま一生出てこないこともあります。

親知らず

◆きちんと生えてこない理由

人類の歴史は、猿人→原人→旧人→新人と進化をたどっていきました。

化石を調べてみると、旧人のころまでは親知らずはきちんと生えていたことが明らかになっています。ところが、旧人の次の段階、新人の時代から、親知らずがきちんと生えてこなくなりました。

これは、顎の骨の大きさが進化とともに小さくなりつつあることに理由があります。進化に伴う骨格の変化は万年単位でおこりますが、骨以上に安定度の高い歯の変化は百万年単位で起こると考えられています。つまり、顎の骨の大きさが小さくなっていることに、歯の進化が追いついていないというわけなんですね。

親知らずが腫れやすい理由

◆大昔から悩みの種

親知らずが腫れると、周囲の骨に炎症性変化が生じます。腫れて引いてを何度も繰り返していると、炎症性変化はより顕著になり、骨を見れば明らかな変化を生じるようになります。

今では、そこになるまでにたいてい抜歯しますから、そんな方は稀です。

ところが、抜歯が出来なかった縄文時代の化石を調べると、炎症性の骨変化が認められる化石が見つかっています。親知らずが腫れる辛い思いには、人類はどうやら縄文時代から悩まされているようです。

◆腫れやすい理由

親知らずが腫れやすい理由は、まさにきちんと生えていないことに尽きます。

きちんと生えていないので、まず歯みがきが十分出来ません。親知らずの周囲に磨き残しが生じることで、細菌が繁殖する温床が出来てしまうのです。そして、歯茎が化膿を起こして腫れるのです。比較的高頻度で起こるため、歯周病ではなく、智歯周囲炎という特別な病名がつけられているほどです。

また、解剖学的に親知らずの周囲には、”隙(げき)”とよばれる筋肉や唾液腺、骨などの組織の間にあるすき間が何カ所かあるということも影響しています。隙におやしらずの炎症が波及すると、腫れを押しとどめるものがないため、急激に腫れてしまうのです。

親知らず

親知らずを抜歯しなければならない理由

◆十分磨けない

歯周病の腫れを防ぐために大切なことは、プラークコントロールです。プラークとは、歯の表面についた細菌の塊のことです。

プラークをしっかりと取り除いていなければ、細菌が繁殖して歯茎を腫らしてしまうのです。しかし困ったことに親知らずは、きちんと生えていることが稀ですから、歯と歯茎のすき間まできれいに磨くことが難しいのです。しかも、奥の奥なので歯ブラシそのものを入れることすら、たいへんです。

つまり、十分磨けないのでプラークコントロールがなかなか出来ないのです。そこで、一度腫れた親知らずは、今後も腫れを繰り返すことが予想されますので抜歯することになるわけです。

◆むし歯治療が難しい

親知らずは最も奥にあるため、むし歯治療で使う器具を入れるのがとても難しいのです。しかも、お口は前ほどよく開き、奥ほどあまり開きません。

つまり、むし歯治療をしようと思っても、どうしても見えないところが生まれてしまうわけです。しっかり見えにい上に、器具を入れるのも難しいとなれば、むし歯治療そのものが難しくなります。そのため、ある程度大きなむし歯になれば、抜歯となるケースが多いのです。

◆きちんと噛んでいない

親知らずのほとんどが、斜めに生えていたり、後ろが歯茎に埋もれていたりすることは前述しました。そのような生え方の歯は、きちんと噛むことが出来ません。つまり、歯としての機能を果たしていないわけです。

矯正歯科治療をしようにも、顎の骨の大きさの関係で、親知らずをきれいに並べるのは不可能といっても過言ではないくらい難しいです。
そのため、今後も役に立たないと予想される歯ですので、抜歯となるのです。

親知らず

親知らずの抜歯の注意点

◆腫れ

親知らずを抜歯すると腫れます。腫れのピークは抜いてから24〜48時間くらいで、それから引き始めます。

ですから腫れたとしても、24〜48時間がピークでそれから少しでも軽くなってくるのなら、心配することはありません。また、腫れると氷水などで冷やす方がいますが、冷やし過ぎになるのでかえって治りを悪くさせてしまいます。冷やしすぎないように注意してください。

◆痛み

痛みについては、歯科医師が処方する消炎鎮痛薬とよばれる痛み止めを使って、痛みをコントロールするようにしてください。飲み薬では痛みがとれないときは、坐薬の痛み止めを使うといでしょう。

◆出血

抜歯してから数日の間は、唾液によく血が混じります。血が混じる程度なら心配ありません。不安なら、ガーゼなどを30分ほどしっかり噛むようにしましょう。

◆抜歯当日

親知らずを抜歯した当日は、自宅でゆっくり休んでください。お風呂もシャワー程度に留める方がいいでしょう。

翌日からは、無理のない範囲ならお仕事、学校、スポーツなどしていただいても大丈夫です。

◆その他

下顎の親知らずの場合は下顎や唇の感覚のしびれ、上顎の場合は鼻に水が流れ込むような症状があれば、抜歯した翌日などに歯科医院を受診して、症状を確認してもらってください。

まとめ

親知らずが腫れたり、痛んだりすれば、たいてい抜歯することになります。

それは、親知らずがきちんと生えていないということに大半の理由があります。

親知らずの抜歯は、腫れや痛みが辛いのですが、今後同じような症状を繰り返さないためにも、一度腫れたり痛んだりしたときには、抜歯しておいた方がいいでしょう。

親知らず

 

※上記コラムに関するご質問・ご相談は、虎ノ門(神谷町)の歯科岡田歯科クリニックへご連絡下さい。